2016年発売のGPS受信機キット(AE-GYSFDMAXB)は、「みちびき」1号機の信号しか受信できませんでした。
2018年3月30日最新のファームウェアがリリースされ、ファームウェアをアップデートすることでこのモジュールでも3機の「みちびき」の信号を受信することができるようになりました。
気になる精度がどれほど変わったのか検証してみました。
(あぁ、ちなみにキット手に入れて検証始めるまで「みちびき」の「み」の字も知りませんでした、はい。)
目次
準天頂衛星システム「みちびき」について
ざっと「みちびき」について分かったことを。
GPS
- 位置情報といえばまずはGPS
- GPSはアメリカの衛星測位システムで、「全地球測位システム」とも言われるように地球上をカバーしている
- あくまでアメリカの衛星であり、都市部や山間部など電波が遮られることも含め精度が安定しない
「みちびき」とは
- 準天頂衛星システム(QZSS)
- GPSの代わりではなく、GPSと併用してGPSを補完する日本の衛星測位システム
- 2018年4月現在4機体制
- 3機の準天頂軌道衛星(1,2,4号機)と1機の静止軌道衛星(3号機)
- 静止軌道衛星は常に日本上空の一定の位置に滞在
- 準天頂軌道衛星は24時間を3交代するように日本上空をカバーする
- 衛星の軌道については、[映像] 準天頂軌道 衛星模型の動画が面白かった
- 3号機の信号受信は限定されており現状利用できない
- PNR番号
- 1号機:193
- 2号機:194
- 3号機:199
- 4号機:195
- 3機の準天頂軌道衛星(1,2,4号機)と1機の静止軌道衛星(3号機)
- 2018年3月、運用時期を11月1日に延期すると発表された
精度について
「みちびき」は精度の異なる3つのサービスを提供しています。
それぞれ信号が違うため利用したいサービスに対応した製品(モジュール)が必要になってきます。
サービス毎の精度
- 衛星測位サービス:誤差10m程度(GPSと同程度)
- サブメータ級測位補強サービス:誤差1~2m程度
- センチメータ級測位補強サービス:誤差6~12cm程度
信号の種類
- 衛星測位サービス:信号 L1C/A, L1C, L2C, L5
- サブメータ級測位補強サービス:信号 L1S
- センチメータ級測位補強サービス:信号 L6
対象モジュール
検証に用いた受信機は、秋月電子通商のGPS受信機キット 「みちびき」対応になります。
受信周波数は「L1,C/Aコード」となっており、衛星測位サービスつまりGPSと同程度の精度になると思われます。
2018年3月29日以前のファームウェアでは、1号機の信号しか受信できませんでした。
3月の1号機の動きを見ると、AM2時~AM8時くらいに日本上空を飛んでおり、とても検証できる状況ではありませんでした。。
アップデートされたファームウェアでは、3号機を除く3機の衛星の信号を受信できます。
これで日中でもGPSと同程度(漸く)のサービスを受けられる!
ファームウェアのアップデート
製品のネット通販のページよりパッケージが無償で配布されています。 ダウンロード後解凍して手順書を確認してください。
モジュールにPCを直接接続し、MiniGPSを使って設定を確認しつつ、パッケージに含まれているbatを実行すればOKです。
検証
というわけで長い前振りが終わりやっと検証です。
まず一緒に散歩してもらう相棒のご紹介。これもってひたすら練り歩きました...
次にこの時間帯「みちびき」がどのあたりにいたのかを見てみましょう。
これを見ると2号機と4号機が近くを飛んでいたようです。
検証1
都庁をぐるっと一周してみました。
割と車道ギリギリに線が描かれ、GPSと同程度と言いつつ状況次第ではサブメータ級くらいの精度が出てそうです!すごい!
検証2
新宿駅西口方面の動く歩道のあるU字地下道に都庁側からぐるっと潜入してみました。
京王プラザホテル脇から天井のある地下道に入るのですが、数m歩くと信号が遮断されて受信できていない状態になりました。
その後駅に近づくと、中央に巨大な穴が開いており空が見えるあたりで信号を受信するも、かなりご乱心の様子。
ブックファースト新宿店(コクーンタワー)のあたりで地上に出ました。
屋根があると全く使い物にならず。
検証3
コクーンタワーの麓に壁に囲まれて頭上がぽっかり開けたスペースがあったので信号受信できるか試してみました。 信号自体は途切れることなく受信できてますが、精度はGPS程度といったところでしょうか。
まとめ
アップデート前は1号機が日本上空にいる時間に検証ができなかったため、km単位でズレが生じていました。(これはマジ使えねぇ...って思った)
3機の衛星から受信可能になったことで、日本上空にいる衛星で衛星測位サービスが利用できたことになります。
状況によってはサブメータ級くらいの精度が出ており、ビル群はもとより受信機真上に数m程度上空とつながるスペースがあれば信号自体も受信できていることが確認できました。
今後サブメータ級に対応したモジュールが出てきたらどこまで精度が上がるのか楽しみです。
というかまだGPSと同程度!
みちびきのポテンシャル全然出てないじゃん!
(素人の感想です)